ゴミ屋敷の相続放棄に関するQ&A
Q相続放棄をする場合、故人のゴミ屋敷を放っておいても問題ありませんか?
A
原則として、相続放棄をする場合には、故人(以下、「被相続人」といいます)が所有していた物には一切手をつけてはいけません。
被相続人のお住まいがゴミ屋敷であったとしても、基本的には何もしなくても問題はありませんし、むしろ何もするべきではありません。
ただし、食品など腐敗するものがあったり、虫が発生しているというような場合には、トラブルを避けるために最低限の手入れだけはしておくこともあります。
Q故人の家のゴミを片付けると相続放棄できなくなるのでしょうか?
A
例えゴミであっても、原則として被相続人の所有に属していた物を処分することはできません。
被相続人の物を処分してしまうと、法定単純承認事由という、相続放棄が認められなくなってしまう行為をしたことになってしまいます。
腐敗物など、そのままにしておくと他の残置物や家屋を汚損してしまい、価値の低下を招いてしまうようなものであれば、処分をしても保存行為となる可能性はあります。
例外として、裁判例においては、形見分け程度であれば残置物を引き取っても良いとはされています。
また、残置物であっても、使い古した家財道具や着古した衣類など、売却しても値段がつかないどころか、むしろ処分費用がかかる物もあります。
このような物については、財産的価値がないことから相続財産を形成しないと捉え、処分をしても法定単純承認事由には該当しないと解釈することもできないわけではありません。
もっとも、裁判所が明確に認めているわけではないため、たとえ価値がなくても残置物を処分する場合にはリスクを負うことになります。
Q全員が相続放棄する場合、ゴミ屋敷はどうすればよいのでしょうか?
A
相続人が全員相続放棄をした場合、相続放棄をした時点で現に占有していなかった相続財産については、管理をする責任は負いません。
ゴミ屋敷となっていた被相続人のご自宅の場合、同居していたなど、現に占有していた相続人は通常いないと考えられますので、法律上は管理をする必要はありません。
ただし、そのままにしておくと近隣の方に迷惑がかかる可能性があるなど、事実上の問題は残り続けます。
もしこのような問題を解消したいとお考えの場合には、家庭裁判所に対し、相続財産清算人の選任申立てを行います。
これにより、相続財産清算人がゴミ屋敷となっていた被相続人のご自宅を処分することができるようになります。